【論 文】コンプライアンスと仲介業

コンプライアンスと仲介業について

・宅建マイスター・フェローに認定された「論文」

 「コンスライアンと仲介業について」

 

「コンプライアンスと仲介業について」白木 淳巳 (retpc.jp)

 

・講 

 

明海大学不動産学部教授
周藤利一

 白木淳巳氏の論文は、コンプライアンスと仲介業について、豊富な資料分析に基づき丁寧に考察を重ねた大変優れた内容になっています。このテーマについて宅建マイスターの立場から本格的に論じたものとして大きな意義が認められます。
 本論文は、まず、「はじめに」においてこのテーマに対する論者の問題意識を明らかにした上で、第1章において「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へ、第2章において「宅地建物取引士」から「宅建マイスター」へというそれぞれの位置づけとあり方を的確に把握・整理しています。
 次に、第3章において「コンプライアンス」を遵守するという考え方は、安全で安心な取引を成立させるのに最も重要であることを論じ、コンプライアンスは宅建業者にとって(1)リスク管理の手法、(2)クライアントからの信頼獲得、(3)宅建マイスターだけでなく、宅建業者とその従業員を守る手段の機能を果たすことを確認しています。
 第4章においてコンプライアンスを考える事例を紹介し、第7章において検討を加えていますが、検討の前提として、第5章においてコンプライアンスが問題となった事件の類型を整理し、不動産業における具体的な事件と判例を整理しています。
 さらに、第6章においては、コンプライアンスに違反した場合の制裁を(1)刑事的制裁、(2)行政的制裁、(3)民事的制裁、(4)自律的制裁、(5)社会的制裁に分類し、それぞれの制裁の具体的な内容を綿密に分析して解説しています。
 そして、第7章において、第4章で紹介した事例に関し、コンプライアンスを徹底させるための宅建マイスターとしての立場での関わり合いという視点に立って、詳細に分析しています。さらに、宅建マイスターの持つ取引リスク管理能力の伝授と勉強会の実施について自身の活動を紹介し、今後も宅建マイスターを増やすための啓蒙活動のためにあらゆる努力をし、不動産業界に貢献する意思を表明しています。
 最後に、結びに代えてクライアントは全員身内のつもりでお世話をする意識を徹底し、業務に当てはめてあらゆるリスクを説明し、十分に納得してもらうことを基本と考え、宅建マイスターとして業務に励むことを言明しています。
 このように、本論文は、資料を数多く理解した上で、相当の分量の論考として書き上げていますが、全体の構成がしっかりしており、各章の内容も論理的に完成されており、綿密な分析を加えていることから、論旨に説得力があります。
 以上の通り、白木淳巳氏の論文は、宅建マイスターがコンプライアンスに関し有すべき基本的な姿勢や視点を明示している点で、これから宅建マイスターを目指す方たちも含め広く参照して欲しい論考であり、宅建マイスター・フェローの論文として相応しいものと評価します。

 

弁護士
吉田修平

 高い問題意識の下に、単なる宅建士より宅建マイスターが高いレベルの義務を負っていることから論じて、コンプライアンスについての考え方を整理し、自分の主張を要領よくまとめているため論理の運びが非常に明快であり説得力がある。
 また、具体的なケースについて検討を加えており、その際も、常に規範を定立した上で事実への当てはめ作業を行っており、大変分かり易い内容の論文となっている。
 さらに、豊富なデータを提供し、かつ、それを分析した上で、そのデータ内容に基づき論述を行っている力作である。
 全体として・主張が明確であり、かつ、内容も大変良い優秀な論文と評価できる