サブリース契約から賃貸人が被る問題点

2023年07月02日

不動産のサブリース契約とは、一般的には、建物所有者から賃貸住宅を借り上げ、入居者に転貸する契約のことです。その法的性質については、裁判所において、賃貸借契約(民法601条)であると評価されているものが多いです。したがって、借地借家法の規定が適用される可能性があります。

 

借地借家法の規定の中で、賃貸人が被るであろう問題としては、以下のようなものが考えられます。

 

・賃料減額請求権(借地借家法32条1項):

賃借人は、賃料相場の大幅な下落や経済情勢の変化などにより、賃料が相当額を超えるときは、相当額に減額することを賃貸人に請求することができます。この請求権は、サブリース契約にも適用されると最高裁判所が判断しています 。

ただし、その請求の当否や相当賃料額を判断するにあたっては、サブリース契約において賃料額決定の重要な要素とされた事情や契約締結時の経緯などを十分に考慮すべきです 。

 

・解除制限(借地借家法28条):

賃貸人は、正当事由がない限り、賃貸借契約を解除することができません。正当事由とは、例えば、賃料の未払いや建物の損傷などの重大な債務不履行や、建物の取り壊しや自己使用などの必要性がある場合です。サブリース契約にもこの規定が適用されるという判例があります 。

 

・更新拒絶制限(借地借家法39条):

賃貸人は、正当事由がない限り、期間満了後の更新を拒絶することができません。正当事由とは、解除制限と同様に解されます。サブリース契約にもこの規定が適用されるかどうかは明確ではありませんが、一部の判例では適用されるとしています。

 

以上のように、不動産のサブリース契約においては、賃貸人は借地借家法の規定により、賃料減額請求権や解除制限・更新拒絶制限などに対応する必要があります。これらの問題を回避するためには、サブリース契約を締結する際には、事業委託契約や管理委託契約などの別の契約形態を検討することや、賃料額やその改定方法、契約期間や更新条件などを明確に定めることが重要です。

 

また、サブリース契約を締結した後には、賃料相場や経済情勢の変化に注意を払い、賃借人との協議や交渉を円滑に行うことが望ましいです。

サブリース契約から被る賃貸人は被る問題について