宅建業者による「無免許営業」について

2024年04月12日

Q:不動産取引における宅建業法上の無免許営業とはどんなものですか。

 

A:不動産取引における宅建業法上の無免許営業とは、

  宅地建物取引業の免許を受けずに不動産の売買や交換、

  またはそれらの代理や媒介を業として行うことを指します。

  宅建業法第12条第1項により、免許を受けない者は宅地建物取引業を営んで     

  はならないと定められており、違反した場合、宅建業法第79条第2号に基づ

  き、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、あるいはその両方が科される    

  可能性があります。

 

  宅建業法における「業として行う」とは、社会通念上事業の遂行とみなせる

  程度に不動産取引を行う状態を指し、その判断は以下の事項を参考に総合的   

  に行われます。

  1. 取引の対象者:広く一般の者を対象に取引を行うものは事業性が高いとさ  

    れます。

      2. 取引の目的:利益を目的とするものは事業性が高いとされます。

      3. 取引対象物件の取得経緯:転売を目的として取得した物件は事業性が高い            とされます。

      4. 取引の態様:自ら購入者を募り直接販売しようとするものは事業性が高い            とされます。

      5. 取引の反復継続性:反復継続的に取引を行うものは事業性が高いとされま            す。

 

無免許営業に関与することは、宅建業法が目的とする不動産取引の公正の確保や悪質な不動産業者の排除を脅かす行為であり、宅建業者が無免許営業を手助けした場合、行政処分や刑事処分の対象となることがあります。

宅建業者は、取引に際して売主や買主が無免許営業に該当しないことを確認し、

疑わしい場合は慎重な対応が求められます。

 

 

Q:不動産取引において、熊本県知事免許をもった宅建業者が福岡市に事務所を         構え、民法上の第三者のためにする契約をおこなっていわゆる転売をした

     場合は、無免許営業となりますか。

 

A:宅地建物取引業法によると、宅建業者が他の都道府県で事業を行う場合、

     その都道府県知事の免許が必要です。

     熊本県知事の免許を持つ宅建業者が福岡市に事務所を設ける場合、

     福岡県知事の免許が必要になります。

     したがって、鹿児島県知事の免許のみで福岡市で宅建業を行い、

     転売を含む契約を行った場合は、無免許営業となる可能性が高いです。

     また、2以上の都道府県に事務所を設置する場合は、国土交通大臣の免許

   が必要です。

     この規定に従わないと、無免許営業の禁止に関する宅建業法第12条違反と

     なり、罰則の対象となる可能性があります。

     宅建業者は、事業を行う都道府県ごとに適切な免許を取得し、法令を遵守

     する必要があります。

 

不動産取引に関する法的なアドバイスが必要な場合は、専門家に相談することをお勧めします。

 

 

Q:ある取引にて、宅建業法第12条違反に該当する場合、その契約の際に金融         機関から融資を受けた場合、その融資を実行した金融機関は金融庁からの

   お咎めはありませんか。

 

A:宅建業法第12条違反が発生した場合、その取引に関連して融資を行った

     金融機関に対する金融庁からの具体的な対応は、公開されている情報に基

     づくと、直接的な言及は公開されていません。

     しかしながら、金融機関が不動産取引に関与する際には、適切な審査とリ

     スク管理が求められます。

     金融機関は、融資先の法令遵守状況を確認し、不正行為や違法行為に関与

     しないよう注意を払う必要があります。

     また、金融機関が宅建業法違反に関与した場合、それが金融庁の規制や 

     監督指針に反する行為であれば、金融庁からの指導や処分を受ける可能性           があります。

     特に、金融機関が不動産業に参入することに関しては、金融庁の指針に

     より明確に禁止されているため、そのような行為に関与することは、金融

     機関にとってリスクとなり得ます。

 

 

Q:宅建業法違反の疑いがある取引に融資を行った場合、金融機関はその融資

     が適切であったかどうか、法令遵守の観点から検証されることになるで

     しょうか。

 

A:もし金融機関が違法行為を知りながら融資を行ったと判断されれば、

     その責任を問われる可能性があります。

     したがって、金融機関は融資の際には、宅建業法を含む関連法規を遵守

     しているかどうかを慎重に確認することが重要です。

 

 

Q:宅建業法における「業」としての判断するのは誰ですか。

 

A:宅地建物取引業法における「業として」の判断は、以下の要素を総合的に

   勘案して行われます。

  1.**取引の対象者**

   広く一般の者を対象に取引を行おうとするものは事業性が高く、

   取引の当事者に特定の関係が認められるものは事業性が低いです。

   特定の関係とは、親族間や隣接する土地所有者などの代替が容易でない               場合を指します。

  2.**取引の目的**

   利益を目的とするものは事業性が高く、

   特定の資金需要の充足を目的とするものは事業性が低いです。

   特定の資金需要の例としては、相続税の納税や住み替えに伴う既存住宅               の処分などがあります。

  3.**取引対象物件の取得経緯**

   転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、

   相続や自ら使用するために取得した物件の取引は

   事業性が低いです。自ら使用するために取得した物件とは、個人の居住

   用の住宅や事業者の事業所、工場、社宅などの宅地建物を指します。

  4.**取引の態様**

   自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高   

   く、宅地建物取引業者に代理または媒介を依頼して販売しようとする

   ものは事業性が低いです。

   5.**取引の反復継続性**

         反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、

         1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低いです。

         反復継続性は、現在の状況だけでなく、過去の行為や将来の行為の予定

   も含めて判断されます。

 

このような要素を考慮して、「業として」行われたかどうかを判断します。

ただし、具体的な判断は裁判例や行政の解釈により異なることがあります。

 

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