不動産価格の天井はいつ?(後編)

2025年03月28日

さすがにもう上がらないでしょ?

不動産価格について「そろそろ天井では!?」と言われ続けて数年が経過しています。

なぜ天井と言われるの?なのになぜまだ上がるの?その謎を不動産売買営業として働く「実務者」の目線で状況分析してみます!

 

前編にて概要を解説しました。

後編ではいよいよ「天井はいつ?」の核心に迫ります。

 

ではさっそく、資金計画が難しくなれば買える人が減る。購入者が減れば価格は下がるはずにも拘わらず不動産価格が上がるのは ①実需目的の購入は別目線 ②それでも買える人がいる この2点を解説します。

①実需目的の購入

 

前編で述べたマイナス金利政策によって、金融機関の金利引き下げ競争は激しくなり住宅ローン金利は歴史的ともいえる低水準で推移してきました。そして人口は減っても世帯数は増えている現状ではマイホームの需要はあるのです。

 

なにより金融機関にとって、住宅ローンは

 ①担保がとれる

 ②共働きが増えペアローンなど対象者が広がった

 ③投資じゃないから金融庁の指導とは無関係!

一定以上の収入があって、広がる育休制度などで増えたダブルインカムの夫婦がいて、中には住宅資金贈与など税制の優遇にて両親からの援助を受ける夫婦もいて、もしも返済が滞れば給与を差し押さえ、最後は担保を競売にかければ貸し倒れリスクのない融資先なのです。貸さない理由がありません。

 

こうした実需目的と投資目的が市場ではバッティングするため、住宅ローンという借入金を後ろ盾にした実需層または、その層へ販売しようとする戸建やマンションの建売・開発業者との競争の結果、価格は上がり続けたと思料します。

②それでも買える人

 

前編にて現在の銀行のスタンスをお伝えしました。

 ・頭金を2割は出してください

 ・金利はがんばっても2%ですね(一時期は1%前後であった)

 ・耐用年数があと10年なら融資期間も10年ですね

 

これに対抗できる層が存在するのです。

 ・頭金?いいよ。あるよ

 ・代わりに共同担保いれるとかどう?

結局、すでに持っているものは有利な条件で購入を続けています。

 

また、購入者が売買を事業としていれば「再販時の利益で返済する事業計画」も認められますので、既存の建物の寿命(耐用年数)=融資期間 とならないのです。他にも古いアパートを更地化(退去交渉・解体・測量など)する前提での購入を行う法人もいます。事業規模が大きいものだからこそ買える世界があります。もちろんその道で事業する覚悟(つまり宅建免許)があるから可能な方法ではありますが、個人は法人に適わないケースがあります。

いつが天井なのか?

上記2点をもってしても立ち行かなくなった時、それが「不動産価格の天井になる」と思います。

 

では現在の市場はどのような状況かというと・・・

 

①実需目的の購入については、金利上昇・資材高騰・人件費高騰・・・さすがの実需層も欲しくても手が届かないとの声が聞こえ始めました。

 

②それでも買える人についても①による需要減により買取再販したいという業者も高買いは止めています。

また不景気により「そろそろ自己資金が尽きてきた」という個人投資家さん、「内需が減っているから」との法人さん、購買力の減少を感じる日々になりました。

 

また、マイナス金利政策は終わり、アメリカのトランプ大統領の圧力もあり金利は上昇傾向です。金利が上昇すると一般的には不動産価格は下落すると考えられています。これはローンの返済負担が増えることで住宅需要が減少するためです。

 

厳しい材料が増える中で迎えた「2025問題」の年、それが今です。

いよいよ、今度こそ、不動産価格の天井が迫ってきたとの意見が説得力を増してきましたね。