不動産価格の天井はいつ?(前編)

2025年03月27日

さすがにもう上がらないでしょ?

不動産価格について「そろそろ天井では!?」と言われ続けて数年が経過しています。

なぜ天井と言われるの?なのになぜまだ上がるの?その謎を不動産売買営業として働く「実務者」の目線で状況分析してみます!

天井と言われる所以

ずばり「供給過多」だからです。日本の人口のピークは2008年でした。消費の少ない高齢層の人口ボリュームも大きく、国内の需要はそう高くありません。

よって、需要と供給の関係にて値崩れするとの意見が根強くあります。

 

2025問題が不動産価格にも影響するのでは?団塊の世代が後期高齢者になる2025年、空き家が増加したり、相続の発生件数が増加したりすることが危惧される問題があります。

この問題もまた不動産の需要と供給バランスを変えるため、価格への影響が懸念されます。

 

また「バブルが弾ける」説もあります。

1990年代のバブル期に迫るまたは超えるほどの価格上昇を続けているため、現在は不動産バブルにあるとの見方をする者もいます。急騰の後には急落の危険があるとの大衆心理が働き、これ以上の価格上昇はないとの意見も聞きます。

「景気は気から」との言葉があるように、個人の消費行動と心理状態は不動産価格に影響します。

なぜまだ上がるのか!?

人口のピークは過ぎましたが、世帯数は2030年までは増加する見通しです。世帯当たりの人数は減りながら世帯数そのものは増えている状況であるため、少人数向けの不動産の需要はまだまだ潤沢との意見があります。特に若年層の流入の多い福岡市は世帯数の増加が全国平均より長い2040年頃まで続くと予測されています。

 

2025問題の解決策として「コンパクトシティの推進」があります。都市部や人気のある地域では一定の需要が見込まれるため、全体的な市場崩壊には至らないとする考え方が一般的です。裏返せば、郊外など不便なエリアについては立地適正化計画が加速し、不動産価格の格差が拡大するという意見です。

 

実務者の立場で最も感じる理由は「金融機関が貸すから」です。

 

2024年3月に解除されるまで、マイナス金利政策が布かれていました。

マイナス金利政策とは日銀が民間の金融機関から預かるお金の当座預金口座の一部をマイナスにする政策のことです。金融機関は日銀にある当座預金の残高のうち、一定額を超えた部分に対する金利が−0.1%となるため、日銀に余分なお金を預け手数料を支払うよりも個人や企業に対して貸し出すことを重視していました。

 

その資金が最も流れたのが不動産です。

不動産への貸付は「担保」がとれる安心感もあり、積極的に「フルローン」で融資を行う時期がありました。2006年のリーマンショックで一時的に不動産価格が落ち込んだこともあり、安価でかつ自己負担も少なく大家になるブーム(年収400万円からのサラリーマン大家など)が到来していたのは記憶に新しいかと思います。

 

しかし、この流れ自体は2018年以降難しくなっております。

理由は①金融庁からの不動産投資への集中に対する指導(2015年の相続税法改正もあり不動産投資が増加。供給過多が物件の空室リスクを上げ不良債権が増加することを危惧)②スルガショック(かぼちゃの馬車事件)により融資審査が厳格化した。この2つの理由から現在、不動産投資(賃貸経営事業)にて融資を利用するハードルは上がり続けています。

 

 ・頭金を2割は出してください

 ・金利はがんばっても2%ですね(一時期は1%前後であった)

 ・耐用年数があと10年なら融資期間も10年ですね

 

銀行の担当者から上記のようなセリフを言われた方も多いのではないでしょうか。

資金計画が難しくなれば買える人が減る。購入者が減れば価格は下がるはずにも拘わらず不動産価格が上がるのは ①実需目的の購入は別目線 ②それでも買える人がいる この2点に尽きるのではないでしょうか。

 

それぞれの背景、そして「天井はいつ?」の核心は後編へ続きます。